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障害を持つ子どもがいる夫婦の離婚問題

障害を持つお子さんがいる夫婦が
離婚を検討する場合に把握すべきこと

障害を持つお子さんがいる夫婦は、そうでない場合に比べて離婚率が高いとされています。では障害を持つお子さんがいるとなぜ離婚率が高くなるのでしょうか。

離婚しないための方法や考え方、どうしても離婚せざるを得ない状況において把握しておくべき情報や気を付けるべきことに関して解説していきます。

なぜ障害を持つお子さんがいる夫婦の離婚率は高いのか

障害を持つお子さんがいると子どもを守るために夫婦の絆が深まる場合もありますが、離婚してしまう家庭も少なくありません。

もちろんどのような夫婦でも離婚する可能性はあるものの、障害を持つお子さんがいると離婚率が高くなる理由はどこにあるのでしょうか。

1:親の生活が縛られる

まず親の生活が大きく縛られます。

一例として、お子さんの保育園、施設、医療機関などの送迎は、基本的に全部親がする必要があります。そしてフルタイム勤務の場合は対応がとても難しくなり、勤務時間を減らすことも検討せざるを得ません。

特に障害を持つお子さんがいる夫婦に関しては、妻でフルタイム勤務をしている人の比率はかなり低いです。また、そもそも妻の就業率も低いです。

そしてお子さんの特徴として集団行動が難しいとなると、保育園・幼稚園などに入れない可能性もあります(入園拒否)。また、小学校でも学童保育に入れない場合が少なくありません。

お子さんのための社会制度は色々ありますが、いずれも基本的にはまず親が対応することが求められます。そのためお子さんの障害が重いほど親の負担も大きくなります。

どれほどお子さんへの愛情が強いとしても親の身体は一つしかありません。「子どもが大切だから」を言い聞かせて無理をせず、できる限り工夫することをおすすめします。

2:夫婦の価値観が合わない

お子さんに障害があると夫婦の価値観が合いにくくなります。もちろん子どものいない家庭でも価値観が完全に合うことはないものの、障害児がいる場合は顕著です。

一例として、療育手帳を取得するかどうか夫婦で希望がズレる場合があります。また、妻としては通常の小学校に入れたくても、夫は養護学校に入れたいと考えるケースもあります。

そして夫のお子さんに対する興味が薄く、妻がそのような夫に対して「もっと子どもとのコミュニケーションを増やしてほしい」と不満を抱く場合も少なくありません。

障害を持つお子さんがいると、色々なシーンにおいて夫婦の価値観の違いが浮き彫りになりやすいです。また、お子さんに関して難しい判断を求められることがあると、決定的なズレが生じることもあります。

3:相手を信じられなくなる

そして相手の言動、対応、価値観などを見て、自分と大きく違うとなると、たとえ相手の言動がそれほど間違っていないとしても、相手から気持ちが離れていき離婚が選択肢に挙がりやすくなります。

もちろん以下で解説していくように相手の言動に問題がある場合は、さらに離婚への意識が強くなりやすいです。

4:夫のお子さんへの無理解・受け入れない

お子さんに対して無理解であったり、ある程度理解しても受け入れなかったりする親もいます。妻にもあり得ますが、夫の方が多いとされています。

母親は妊娠期間中からお子さんに対する愛情を育むため、お子さんに障害があっても理解して受け入れやすいのです。

ですが父親はお子さんが生まれてから、お子さんと一緒に「父親」になっていくものです。しかしお子さんに障害があると、そのことを受け止められなくなり、「理解しよう」という意欲も薄れていくケースが少なくありません。

5:親の精神的負担が大きくなる

お子さんに障害があると、親の精神的負担がどうしても大きくなるものです。

「日々の対応」が増えることによるストレスもありますが、頭では理解していても「なぜこの子はできないのか」「なぜ他の子と差があるのか」という気持ちが出てきて苦しくなる場合もあります。また、「そういったことを考える自分」を責めてさらに辛くなる親も少なくありません。

そのような状況で配偶者の些細な無理解を見ると、許せないという感情が強くなるかもしれません。そういった環境が続くと、「夫(妻)は理解してくれない」という気持ちで固まっていく恐れもあります。

冷静に考えると「完全な無理解」「完全な不干渉」ではないとしても、「きちんと理解している部分・関わっている部分」に目を向けられなくなり、相手への不信感が強くなっていく場合もあるのです。

6:家庭外でのストレス発散

不倫や浮気を行うこともあります(その他、極端な散財、長期の外出なども含まれます)。もちろんすべての家庭でそうなるわけではありませんが、そういった夫婦も少なくありません。

妻がお子さんへの対応で心身ともに疲弊して、夫に対して費やす時間や精神的なゆとりがなくなります。また夫はお子さんを受け入れられずストレスを溜め、家庭外での発散に走ってしまう可能性があるのです。

障害を持つお子さんのいる夫婦が
離婚する前に行うべきこと

障害を持つお子さんのいる夫婦が離婚したい場合でも、以下のことをしてから改めて離婚を検討していただきたいと思います。いきなり離婚に踏み切るのは好ましくありません。

1:夫の理解・サポートが不足している場合は?

先ほどもお伝えした通り、夫の理解・サポートが不足する場合があります。そういったケースでは、他の「障害を持つお子さんがいる家庭」からエピソードなどを聞き、夫に聞かせるといいでしょう。夫婦二人で一緒に話を聞くのもおすすめです。

アドバイスを聞けるだけでなく、「障害を持つ子どもがいるのは自分たちだけではない」と実感できて気持ちが落ち着くかもしれません。

2:夫に具体的に説明する

単に「もっと子どもと向き合ってほしい」だけでは抽象的過ぎて伝わらないかもしれません。そのため「子どもとのコミュニケーションを増やしてほしいこと」「増やしてほしい」理由などを夫に具体的に伝えることをおすすめします。

夫が積極的に子どもと関わるようになれば「自分は父親」という意識が強くなっていくことでしょう。

3:祖父母や親戚に助けてもらう

祖父母や親戚に助けてもらい自分たちの負担を減らすだけで、心身のストレスが軽くなり夫婦の関係性をある程度修復できるかもしれません。

ただし祖父母や親戚だからといって、お子さんの障害に対して理解を示すとは限りません。そして「関係はあるものの親ではない」ために、心無い言動を取る可能性もあります。そのため「どの祖父母や親戚を頼るか」も慎重に検討することをおすすめします。

4:地域の療育活動に参加する

土日祝日に行われる療育活動が大半ですが、これらのサポートを利用し、この時間をお子さんを預けることにより自分の時間が増えますし休息も取ることができます。

普段と違う場所で遊べるためお子さんにとっても楽しみになるでしょうし、「他の障害を持つお子さんのいる家庭」と情報共有をしたり、精神的なつながりを持ったりすることもできます。他の家庭との交流が、自分たちの関係修復のきっかけになる可能性もあります。

5:障害児専門保育園などを利用する

お子さんが入園できる幼稚園や保育園などが近くにない場合は、障害児専門保育園などの専門性の高い施設の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

6:障害を持つ子どもを支援する制度を利用する

様々な障害者支援制度があるためできる限り活用しましょう。行政によるもの、民間団体によるものなどがありますが、どれも選択肢に入れるべきです。

一例として、お子さんでも放課後等デイサービスや児童デイサービスなどを利用できる可能性もがありますし、保育所の訪問支援が実施されている場合もあります。

さらに医療型や福祉型の障害児入所施設なども存在しますから、どうしても家庭生活を維持できないのであれば、そういった施設に相談することも考えましょう。

一概に「離婚は絶対に避けるべき」とも言えませんが、現実的には離婚を避ける方が良い状況を得られる場合が大半です。そのため、まずは様々な方法を調べて検討することをおすすめします。

お子さんが障害を持つ夫婦が
離婚を考えるにあたって把握するべきこと

続いては障害を持つお子さんのいる夫婦が、離婚を考えるにあたって知っておくべきことについて解説します。どのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。

 

①お子さんの障害は離婚の理由になるのか

まず、夫婦が二人とも同意していれば離婚できます。これはお子さんに障害があってもなくても同じことです。

相手が離婚に同意しなければ、離婚調停をします。これは裁判所でする手続きであり、「離婚に対する二人の同意」を目指します。そして相手の同意が得られれば離婚できます(これもお子さんの障害の有無は関係ありません)。

それでも相手が離婚に同意しないケースでは離婚訴訟をしますが、この場合は「法廷離婚事由」がないと離婚できません。

法廷離婚事由、つまり「相手の同意がなくても法的に離婚できる事柄」は5つあります。

そのうち4つは「不貞」「悪意の遺棄」「配偶者の生死不明(3年以上)」「配偶者の精神疾患(回復が難しい)」ですが、これらはお子さんの障害と直接関係するわけではありません。

5つ目は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」ですが、これは原則として「夫婦間の問題」でなければなりませんから、やはりお子さんの障害は無関係と言えます。

裁判所としてはむしろ「夫婦でいないと障害を持つお子さんの養育状況が悪くなり得る」と判断して離婚を承認しないかもしれません。

そのため障害を持つお子さんがいて、それを理由に離婚したいのであれば、可能な限り話し合いによって離婚にたどり着くべきと言えます。

 

②離婚後、障害を持つお子さんを一人で育てることに関して

子どもが未成年のうちに離婚する場合、親権者を決める必要があります。親権者になれば大きな負担がかかります(相手方も養育費を支払い続けることになりますが、親権者に比べれば負担は少ないはずです)。

夫婦でいたときは「片方が仕事をしているときは、片方が子どもの世話」ということができたと思いますが、一人になればそれもできません。

祖父母や親戚のサポートを得られない場合は、長時間勤務は困難になる恐れがあります。すると収入は少なくなる傾向にあるため、生活費、学費、施設費用など、金銭的不安が尽きないはずです。行政から金銭的サポートを得られるものの、それだけでは不足する場合が多いと言えます。

こういった現実も見据えて、離婚するのか・障害のあるお子さんを引き取るのかを決めることが大事です。

 

③離婚慰謝料について

まず慰謝料は基本的に「夫婦関係を壊す原因を作った方」が支払います。そのためお子さんに障害があることは、慰謝料の発生の直接的な理由にはなりません。

さて、以下に該当する場合は相手に慰謝料を請求できます。

・配偶者の不貞

例えば夫の不倫のせいで離婚する場合は慰謝料を請求できます。

・配偶者による悪意の遺棄

「家庭が嫌になり家を出る」「家に生活費を入れない」などの行為が該当します。

・配偶者によるDVやモラハラ

継続的な暴力・暴言などが当てはまります。

お子さんと無関係の暴力・暴言であっても慰謝料請求はできますし、「状況が酷く夫婦関係を継続できない」と認められれば法廷離婚事由となります(法的に離婚できます)。

 

④離婚を検討する場合の相談先は?

障害を持つお子さんがいて離婚を検討する場合、夫婦間だけで決断せず、色々な相談機関を利用することをおすすめします。「冷静な第三者」をはさみましょう。

●市役所、保健所、児童相談所、福祉事務所など

市役所、保健所、児童相談所、福祉事務所などで、お子さんの育児などについて相談できます。相談相手はケースワーカー、児童心理士、医師などです。

相談することでアドバイスを受けられて気持ちが安定するかもしれませんし、具体的なサポート制度を教えてくれる場合もあります。

●夫婦カウンセラー

相談窓口を利用しても夫婦間の溝が埋まらない場合は、夫婦カウンセラーに相談するのもいいでしょう。文字通り「夫婦カウンセラー」という資格があるため、有資格者を探すことをおすすめします。

●弁護士

すでに離婚する意思がある程度固まっている場合は弁護士への相談をおすすめします。法律のプロのサポートにより「お子さんへの負担を抑える」「離婚後の生活を安定したものにする」などがしやすくなるためです。

配偶者が離婚に同意するかどうかも要点ですし、財産分与や養育費についても具体的に決めておかなければなりません。

一般の方が自分だけで配偶者と交渉しても、きちんと権利を行使できないかもしれません。そのため離婚を検討している場合はあまり遅くならないうちに相談しましょう。

離婚までの手順は?

離婚までの手順や方法を紹介します。なお「子どもに障害がある場合特有」の要素はほぼありません。

1:まずは夫婦間で相談を

まずは離婚について切り出して夫婦間で相談しましょう。養育費、財産分与、慰謝料、解決金などの条件に関しても取り決めることをおすすめします。

話が整理できてお互いに同意したら、離婚合意書を作ります。そして役所から離婚届をもらい、必要項目を書いて役所に提出すれば離婚成立となります。

2:離婚調停(1で離婚できない場合)

「1」で離婚できない場合は、離婚調停をすることになります(家庭裁判所)。

調停委員が介入して、夫婦間で話し合います。ただ、お子さんに障害がある場合、それを理由に調停委員が離婚をやめるように説得してくるかもしれません。

3:離婚訴訟(2で離婚できない場合)

離婚調停をしても離婚できない場合は、離婚訴訟をするしかありません。

ただし先述の通り「法廷離婚事由」がないと離婚訴訟をしても離婚は承認されません。そのため「子どもに障害があっても、相手方に生活上の重大な落ち度がない」「かつ相手が離婚したがらない」というケースでは、基本的に離婚はできません。

まとめ

ここまで障害を持つお子さんのいる家庭における離婚に関してお伝えしました。

お子さんに障害があると夫婦間の問題が起きやすくなり、離婚が選択肢に挙がってくるケースが少なくありません。しかしいきなり離婚するのではなく、まずは各種支援を最大限活用して「家庭」という形を保ってみてはいかがでしょうか。

それでもどうしても離婚せざるを得ない場合は、法律のプロである弁護士に話を持ち込むことをおすすめします。「絶対に離婚を避ける」のではなく「離婚後の生活をより安定したものにする」という視点で相談することで、適切な離婚がしやすくなります。

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