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別居をご検討されている方へ

離婚の準備をするためにも、別居はとても大切です。

しかし、別居すること自体に同意されないのではないか、不利にならないか、どのようにすれば良いのか?と悩んでいる方も少なくありません。

今回は、離婚前の別居の意味やその方法について詳しく解説していきます。

そもそも別居は必要なのか?

「別居」をするか悩んでいる人も多いと思いますが、離婚前の別居は必須ではありません。

離婚自体はお互いに同意していて、しっかりと話し合いができているのであれば、同居のまま、離婚という選択肢をとることも可能です。

ただ、一般的には、離婚前に別居(もしくは、家庭内別居)を経て離婚する方が多いです。

とくに、モラルハラスメント(モラハラ)や暴力(DV)が原因となる離婚の場合は、その被害から逃げるために別居する選択をする方もたくさんいます。

なぜ、別居をするのか

夫婦の離婚前の別居の理由は、その家庭毎にさまざまですが、1番のメリットは「お互い、冷静な気持ちで話し合える」ということにあるように思います。

当然ですが、お互い気持ちがないままに一緒に暮らすのは苦痛です。他人と生活しているのと同じことだからです。

それを一旦「別居」することによって、感情的になる気持ちを抑えて、話し合いを進めることができます。

もし、モラハラやDVに悩まされているのであれば、今すぐにでも別居することをおすすめします。

別居は、夫婦が同居しながらお互いを助け合い、生活をする義務を放棄したと判断されるので、調停や審判、裁判になった時に有利に働くこともあります。

◎別居した方が良いケース

① モラハラやDV

モラハラやDVを受けているのであれば、同居はせず、別居した上での問題解決を目指しましょう。このまま同居していても、あなたの心身がもっと傷ついてしまうだけです。

命や健康よりも大切なものはありません。また、冷静な話し合いができるとも思えない状況ですので、別居の上で、離婚交渉を進めていくことをおすすめします。

② 相手が離婚に応じない

「離婚したい」と思っていても、相手もそう思わなければ、離婚は成立しません。

この場合、調停や審判、裁判へと進んでいきますが、同居したままだと離婚が認められる可能性は低く、相手の同意を得られないまま月日が過ぎてしまいます。

別居は、離婚事由の1つとして認められやすくなる効果がありますので、なかなか離婚に応じてもらえない場合には、別居を選択肢の1つとして考えてみてください。

③ まともに話し合いができない

相手が逆上してしまって話し合いにならないなど、離婚話は出ているのになかなか思うように進まないこともあります。

こういった場合も一旦別居をして、冷静に話し合いの場を設けることが大切です。

別居時の注意点

いざ、別居するとなった時の注意点や準備することをまとめました。

① 証拠を用意する

モラハラやDVの証拠等、第三者がみても「離婚」を認めてもらえるような証拠を準備してください。

一度別居すると、こういった証拠が上手く集められなくなりますので、なるべく別居前に済ませておくことが大切です。

 

<浮気や不倫の場合>

・日記

・配偶者と浮気相手のやり取りが分かるもの(スクショ等)

・配偶者との話し合いを録音したもの

・浮気や不倫が分かる写真等

 

<モラハラやDVの場合>

・暴言の録音

・怪我の写真やあらされた部屋の様子

・診断書

・モラハラやDVを受けたことが分かる日記

・相談記録等

② 財産状況の調査をする

・何処の金融機関(支店名も)にどのくらいの預貯金があるか

・何処の証券会社のどんな銘柄の株を所持しているのか

・夫婦の入っている保険は何か、また、解約返戻金があるかどうか

・住宅ローンや査定価格

・相手の給料明細や源泉徴収票

・車検証

別居後の生活の準備をしましょう

別居後、まず考えたいのは次の住まいや職業です。

しっかりと別居後の生活をシミュレーションして、生活が困窮しないようにしておきましょう。

 

<具体的な生活の準備>

・別居後は、何処に住むか?(実家に戻る、アパートを借りる等)

※別居先の選び方の注意点

異性の友人や知人の家に別居することは、浮気の疑念があるか否かに関わらず、避けることを推奨します。何よりも、相手方に不要な誤解や疑念を持たせないよう、行動を慎重に選びましょう。

・別居後の生活費はどのくらいかかるか

・婚姻費用として、どのくらいお金をもらえるか

・お子さまの転園や転校は必要か

・引っ越しするまでのスケジュール

・引っ越し業者への依頼

・別居日をどうするか

・相手に別居を伝えるかどうか

※別居先を相手に伝えるかどうかについては、とくに定められていません。ただし、モラハラを受けている、DVがあるなどの場合は伝える必要もありません。

伝えなければ、「今、何処にいるんだ?」等の連絡が入るかもしれません。

「警察に捜索願を出す」、「悪意の遺棄で違法だ」、「慰謝料を請求してやる」などと脅してくる人もいますが、これらは無視して問題ありません。

相手が突然家に押しかけてきて連れ戻しにきたり、暴力をふるったりする方がよほど問題です。

当事務所に実際にあった相談の中にも、別居後の住まいを知りたがっているケースは多いです。色々な方法を駆使して、対面での話し合いを求めてきますが、自身や子どもに危害が加えられる可能性がある場合は、原則として伝えないことをおすすめします。

「悪意の遺棄」を避けるための
正しい別居の進め方

夫婦間での別居を考慮する際、「悪意の遺棄」という法的なリスクを回避するための配慮が求められます。

民法において、夫婦は「同居の義務」や「相互扶助義務」を持つとされています。このため、明確な理由がなく一方的に別居を進めると問題となる可能性があり、慰謝料を求められるリスクも考慮しなければなりません(参照: 民法752条)。

別居が「悪意の遺棄」とみなされない具体的な状況は以下のとおりです。

・配偶者からの暴力の被害を受けている場合

・夫婦関係が悪化し、頻繁に対立が生じている場合

・家庭内での別居状態が続いている場合

・配偶者の不倫などの不貞行為があった場合

・双方が話し合いを通じて別居の意向に同意している場合

・経済的に余裕のある側が家を出る際、生活費の支払いを継続する約束がある場合

別居を考えているものの、「悪意の遺棄」に関して疑問や不安がある方は、専門家である弁護士にご相談することをおすすめします。

お子さまがいる場合の別居

お子さまを持つ家庭の場合、別居の際の配慮が重要です。

親権を争う状況となった場合、子どもと共に生活する時間が長い親が親権を得る可能性が高まります。

子どもとの生活を望むかつ親権の取得を目指す場合、別居を始める前に十分な準備を行い、安心して子どもとの生活をスタートさせることが望ましいです。

離婚後の経済的な不安

別居後の経済的な不安を感じる方は少なくありません。

一時的に生活が困窮することも考えられますが、実際には大きな不安を抱える必要は少ないでしょう。

夫婦が別居中であっても、正式な離婚が成立する前には「生活保持義務」という責務が存在します。これにより、収入の少ない方は収入の多い方から婚姻費用の支払いを要求することが認められています。

具体的な金額は双方の収入状況を基に詳細に算定されます。その際、多くの場合「婚姻費用算定表」という基準が用いられます。

もし相手方が婚姻費用の支払いを拒否する場合、早めの時点で調停を申し立てることが推奨されます。

どのくらい別居したら良いのか

以前に、別居が離婚を容易に進める一因となることに触れました。

では、実際に離婚が認められるためには、どの程度の別居期間が必要なのでしょうか。

一般的には、3年から5年の間の別居が離婚を認めるための目安とされています。

しかしながら、離婚を認めるための判断は、別居の期間だけではなく、別居前の夫婦関係や、別居を選んだ背景など、多岐にわたる要因を基に決まります。そのため、3年未満の別居でも、特定の事情があれば離婚が認められるケースも存在します。

まとめ

弁護士は、相手との話し合いや交渉、調停や審判、裁判の主張、書類の作成等を全て代行いたします。

離婚の際、高まる感情が交渉を難しくさせることも少なくありません。私たちが中立の立場から介入することで、問題の核心を明確にし、双方にとって最良の解決へと導きます。

子どもの親権問題や財産分与などの難題についても、依頼者の皆様が離婚後の生活を安心して送れるよう、公正かつ最善の条件を求めてまいります。

離婚後の生活プランニングは非常に重要です。その観点からも、最適なアドバイスを提供させていただきます。

また、当事務所より不動産業者や引越し業者をご紹介することも可能です。お一人で不動産業者に相談したことのない方等、当事務所で別居のお手伝いをさせて頂きます。

離婚問題は非常にセンシティブな問題ですが、是非お気軽にご相談ください。