営業時間:9:00–18:00
定休日:水・木

高額所得者の離婚に関するお金の問題

離婚時に取り決める婚姻費用や養育費の算定には、『養育費・婚姻費用算定表』を用いて計算します。年収及び子どもの人数や年齢によって細かく分けられているこの算定表ですが、実は、年収2,000万円以上(※給与所得)になると記載がありません。

一体、何故なのでしょうか?

また、年収2,000万円以上の場合、どのくらい支払うべきなのでしょうか?

養育費・婚姻費用の他、財産分与についても詳しく解説していきます。

年収2,000万円以上の
記載がない理由について

年収に応じて婚姻費用や養育費は増加されるべきとの考え方がある一方で、高額所得があっても婚姻費用や養育費が増えるわけではないとの考えもあるため、

2,000万円の上限が設けられています。

そもそも、この算定表は基礎収入を主として、生活費や生活指数を数値化したものです。高額所得者は公租公課、いわゆる税金の金額も大きくなるため、基礎収入の割合を割り出すのは難しくなります。

では、具体的に年収2,000万円以上のケースでは、どのような計算がされているのか、養育費・婚姻費用、それぞれの例をみていきましょう。

◎養育費について

養育費は、子どもが社会人になるまでに必要な費用のことです。学費などが主な費用となりますが、この金額は、年収によって大幅に変化するものではないと考えられています。つまり、上限額の金額があれば、十分に足りると考えられます。子どもが2人以上の場合も、同じようにして検討されます。

 

(例)

平成26年度、自営業の夫が年収1億円を超えている事例がありました。子どもは2歳の子、2人です。このケースの養育費は月額20万とされ、養育に関する費用は十分に足りると審判がくだりました。

◎婚姻費用について

上限の2,000万円に近い程度であれば、上限額で認定されることが多いです。しかし、年収が5,000万円以上など大幅に超える場合には、婚姻生活にかかっていたお金や貯金額などを考慮しながら事案ごとに判断されます。

 

(例)

平成29年に夫の年収が1.5億円ほど、専業主婦に対する婚姻費用として、月額75万円と審判がくだりました。同居時にどのようか生活水準で暮らしていたのかなどが焦点となり、算定表は使用されない事案も多々あります。

高額所得者の財産分与について

財産分与は、夫婦が協力して生活を送る中で築いた財産を分けることです。片方が専業主婦(夫)であったとしても、婚姻生活の中で得た財産は半分になります。しかし、一部例外もあります。

 

・財産分与の1/2ルールが適用されないケース

財産分与は一般的に「1/2ルール」が適用されますが、一部例外が発生することもあります。

結婚前の貯金額や、自分の親族から相続した特有財産などが主な例です。あくまでも、婚姻後、お二人で協力して得た財産が財産分与の対象となります。

また、アスリートのような片方の能力によって財産を得た場合なども1/2ルールが適用されないことがあります。とはいえこの部分がゼロになるという意味ではありません。なるべく不利にならないためにも、しっかりと調査しておくことが大切です。

 

・高額所得者の財産

預貯金の他、不動産、株式、ゴルフ会員権、さまざまなものが「財産」となります。自営業や経営者の場合は、自社の株も財産分与の対象となり、その株の評価も考慮されます。

さらに、所有している車や絵画、家具、食器、装飾品なども財産分与の対象となることがあります。自宅にあるもの、何が財産分与となるか判別がつきにくいものも多くあります。知らずに資産を隠蔽され、財産分与が少なくなってしまうこともありますので、まずは、弁護士にご相談ください。しっかりと「財産」を見極め、交渉させていただきます。

◎高額所得者が離婚する場合に覚えておきたいこと

高額所得者の養育費用、婚姻費用は計算式に当てはめられないため、算定表には書かれていません。年収2,000万円以上の方の場合は、双方の協議が必要となるのです。

その上で、金額の問題で争うことになった場合には、最終的に裁判官の審判を待つことになります。それぞれのご家庭の事情や生活の実態、過去の実例などを参考に判断されるため、まずは、弁護士に相談することをおすすめします。

◎財産分与に関するよくある質問

はい。含まれるのが一般的です。退職金は、将来給付される予定分も含め、財産分与に含まれます。ただし、いつ退職するのか、退職金がいくらなのかまだ不確かな若い方との離婚の場合は対象とならないケースがほとんどです。

今回は「来年定年」とのことですので、現時点でも退職金が財産分与の対象となることがほとんどです。

起業した時期にもよります。例えば、結婚前に起業をしていて、結婚時には既に軌道に乗っていたというケースでは、財産分与に含まれないこともあります。実際に当事務所で対応した例でも、含まれなかった例があります。しかし、その分他の財産への交渉を行い、限りなく1/2に近い金額の分与を得ました。

不利な条件で離婚しないための選択

高額所得者との離婚で得られる財産は、半分にならないこともあります。1/2ルールが適用されず、不利な条件で離婚することにならないためにも、まずは離婚のプロである弁護士にご相談ください。

 

高額所得者との離婚問題は、金銭的な部分がカギとなり、一般的な離婚事案以上にお金の問題になることが多いです。こういった事案では、奥様が専業主婦というケースが多いため、離婚後の生活の基盤を立てるための費用がかかります。離婚後、自立した生活を安定して送るためにも、財産分与・養育費用・婚姻費用の取り決めはとても重要になります。

 

弁護士法人ハレは、これまでにも高額所得者との離婚問題を多数解決してきました。こういった離婚に関するお金の問題に強い弁護士が在籍しておりますので、まずは、お気軽にご相談ください。