公務員との離婚
公務員同士の離婚、もしくは、夫婦のどちらかが公務員である場合の離婚では、「お金」の部分で少し注意点があります。まず、公務員の平均年収は高めですので、財産分与も高額になることがあります。加えて、共済組合の貯金、年金等もあるため、一般的な会社員同士の離婚とは異なる調査が必要になるケースもあります。
今回は、夫婦の一方、もしくは双方が、「公務員」である時の離婚問題について詳しく解説していきます。
財産分与について
婚姻関係を解消する際には、夫婦で築いてきた財産を分け合うための”財産分与”を行います。この「財産」というのは、夫婦の共有のものであり、預貯金、生命保険、不動産、有価証券、動産、現金も含みます。
また、冒頭でも紹介した通り、公務員の場合は、共済組合の貯金や退職金等にも注意して、財産分与を進めていきたいところです。
・共済組合の貯金
財産分与は、夫婦の共有する財産をお互いに開示する必要があります。対象資産をしっかり把握しておかないと、財産分与の算出も難しくなるからです。
公務員の方は共済組合に加入しますが、この組合の貯金は利率が高いため、多く貯金している人も少なくありません。公務員の離婚の場合は、この共済組合の貯金額をしっかり把握した上で手続きを進めていきましょう。
どちらか一方が公務員であるケースでは、通常の銀行の預貯金しか開示せず、共済組合の貯金を隠して財産分与の額を減らしたいと考える方もいます。
相手が任意に開示しない場合でも、共済組合に照会を行い、貯金の有無やその預貯金額を調べることもできるので、覚えておきましょう。
・退職金の財産分与
退職金は財産分与の対象になるケースとそうでないケースがあります。しかし、公務員の場合の退職金は財産分与の対象として認められやすいため、この部分もしっかりと調査が必要です。
具体的に、退職金が財産分与として認められるには以下の2点に当てはまる必要があります。
① 近い内に退職する予定があること
② 退職金が支払われることがほぼ確実であること(一部上場企業や公務員等)
公務員の場合は②を満たしているので、問題となるのは①のみとなります。
”近い内に”とありますが、公務員の場合は、退職時期がかなり先の場合でも認められるケースも少なくありません。
どちらか一方が公務員である場合は、しっかりと退職金のことも忘れないようにしておきましょう。
尚、財産分与は「離婚時」、「退職時」どちらかに行われることが多く、取り決めも1つではありません。双方の意見も踏まえながら、ケースに応じて対応していくことが必要です。
年金分割について
公務員の年金は、共済年金に加入しているため、一般的な厚生年金と比べて高くなることが多いです。とくに婚姻年数が長い熟年離婚のケースでは、分割される年金も多くなりますので、しっかりと手続きをしておきましょう。
また、この手続きをするために、「年金分割情報通知書」が必要になりますが、共済年金の場合は、年金事務所に申請しても交付されません。取得は必ず、共済組合に申請を出すことも忘れないようにしましょう。
養育費について
夫婦間に未成年のお子さまがいる場合は、養育費の取り決めも行う必要があります。ここでは、その金額について詳しく解説していきます。
・養育費はどのくらいが妥当なのか?
養育費については、高年収の公務員でも、通常の夫婦と同じ算定方法がとられます。
しかし、公務員の親御さんの多くは十分な収入があるため、お子さまに良い教育をつけたいと希望する方も少なくありません。この場合は、養育費とは別に、「学費」として取り決めを行うのが一般的です。
具体例としては、「私立中学校、高等学校、大学の学費はすべて負担する」といったものがあります。この部分は子育て方針にもよる部分があるため、よく話し合い決めていきましょう。
・養育費の減額について
養育費は最初の取り決め通り支払っていくのが普通ですが、何らかの理由によって、支払えなくなることもあります。例えば、病気をして公務員を辞めなくてはいけない状況になった等の事例があります。
このようなケースの場合は、その時に養育費の金額を決め直すことができます。
まずは話し合いで取り決めを解消していきますが、話し合いで解決できない場合は、調停や審判など、裁判所を通じて減額することとなります。
差し押さえについて
離婚の際に、しっかりと婚姻費用・養育費・慰謝料・財産分与を取り決めたのにも関わらず、支払いが行われないというケースも実は少なくありません。
相手が公務員である場合は、給料を差し押さえることが可能ですので、比較的容易に回収できます。共済組合の貯金や賞与、退職金なども差し押さえの対象となりますので、相手が公務員である場合には特に心配はいりません。
差し押さえられた公務員側は、毎月の給料の一部や貯金の一部を差し押さえられるだけではなく、職場にも差し押さえの事実が把握されてしまうため、社会的な地位を失うことにも繋がります。
支払いは滞りなく行うようにし、間違っても給与等の差し押さえとならないように注意してください。
まとめ
今回は、夫婦の内、一方もしくは双方が「公務員」である場合の離婚について詳しく解説してきました。一般的な会社員同士の離婚とはまた異なり、お金の面で注意するべき点がいくつかあります。
具体的にどのような手順で進めていけば良いのか分からないという方は、是非、お気軽に専門家である弁護士までお問い合わせください。
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