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離婚したいと考えている方へ

日本の夫婦の離婚率は、約35%で決して珍しいことではありません。

結婚当時は幸せな家庭を築いていたとしても、子どもが産まれ、一緒に生活している内に相手のイヤな部分が見えてきて離婚に至るケースも多々あるのです。

ただ、「今すぐ、離婚」という選択肢は、後々の後悔や苦労に繋がるため、おすすめしません。離婚をする意志は固くとも、行動する前に離婚について知り、じっくりと準備を進めることをおすすめします。

今回は、離婚に向けて知っておくべきこと、また、どのような準備が必要なのかを詳しく解説していきます。

夫婦の考えるよくある離婚事由とは?

婚姻関係を解消する夫婦には、何らかの理由があるのは当然です。

その理由は家庭によってさまざまですので、

「本当にこんなことで離婚して良いのだろうか」と悩んでいる方も少なくありません。

まずは、下記の令和2年度の「離婚調停を申し立てた理由」をみていきましょう。

<夫が妻と離婚したい理由>

第1位 性格の不一致

第2位 モラハラ

第3位 異性関係

第4位 親族との問題

第5位 その他

<妻が夫と離婚したい理由>

第1位 性格の不一致

第2位 生活費を渡さない

第3位 パワハラ

第4位 DV

第5位 異性関係

夫婦どちらとも第1位にランクインしたのは、「性格の不一致」です。

性格が合って結婚したはずの夫婦ですが、生活していく上ですれ違いが生じてしまうのはよくあることです。

ここにはないものでは、飲酒やお金の浪費、病気、同居に応じない、性生活の不満などの理由があり、本当に多岐に渡ります。

ランクインしている離婚理由については、以下で詳しく解説していきます。

・性格の不一致

性格や価値観が合わないのは、お互い他人同士なのですから、仕方のないことともいえます。この合わない部分を”許せなくなってしまった時”に、離婚に至ることが多いです。

・浮気や不倫

異性関係の問題も、夫婦どちらにもランクインしています。不貞行為がある離婚は、通常の離婚よりも揉める傾向にあります。

・暴力

精神的な暴力は、モラル・ハラスメント(モラハラ)といい、離婚事由にもなります。受けている側の感覚が麻痺してしまい、モラハラに気が付けないことも少なくありません。

一方、身体的な暴力は、DV(ドメスティック・バイオレンス)といいます。夫から妻への暴力が一般的ですが、最近は妻からのDVに困っているという相談件数も増えてきています。

・生活費を渡さない

夫婦は、お互いの生活レベルを同等程度に保つ義務があります。夫が妻にお金を渡さない等、困窮している状態は立派な離婚事由となり得ます。

・親族問題

配偶者のご両親との同居問題や嫁いびりなど、親族問題で離婚する方も少なくありません。配偶者が自分の味方ではなく親の味方をすることによって問題が大きくなってしまうケースが多いです。

明確な理由がないと離婚はできないのか?

離婚事由のランキングをみて、「分かる、分かる」、「あるある!」と納得された方も多いのではないでしょうか。

一方で、「ただ何となく離婚したい」という方も最近は増えてきています。

離婚の手続きに必要なのは、配偶者の同意で、離婚届に離婚理由は要りません。つまり、理由がなくとも、離婚届にお互いの判を押せば、成立してしまいます。

しかし、相手の同意が得られない場合には、裁判に発展する他ありません。その時は、”法的離婚事由”が必要となりますので、注意が必要です。

◎法的な離婚事由とは?

相手の同意を得られず、離婚裁判まで発展してしまった場合、離婚の是非は、裁判官が夫婦の事情を踏まえた上で判断します。

この時に必要になるのが「法的離婚事由」です。具体的には、どのような事由があるのでしょうか?

・不貞行為

配偶者以外の人との肉体関係が発覚している

・悪意の遺棄

夫婦として同居や協力、扶助等の義務を果たしていないこと

・3年以上の生死不明

3年以上音信不通で生きているのかすら分からないこと

・強度の精神病

日常生活に支障が出るほどの精神的な病気を抱え、その回復の見込みがないこと

・その他の事由

モラルハラスメント(モラハラ)、ドメスティックバイオレンス(DV)、親族問題、信仰上の対立から夫婦関係が破綻している

 

ちなみに、離婚事由の第1位となる「性格の不一致」は、法的離婚事由とするには少々弱く、裁判で離婚が認められるのは難しいです。性格の不一致からどのような生活になっているのか、夫婦関係が破綻しているのか等、詳しく事情を聞いていく必要があります。

離婚の流れ

いざ、離婚するとなった時、どのような流れで離婚できるのか知っていますか?

ここでは、具体的な手続きの流れについてご紹介していきます。

一般的に、離婚は夫婦の話し合いから始まります。ここで双方の同意が得られない時は、離婚調停へと進みます。また、この調停も不成立となったら、審判や裁判となります。

離婚が成立した段階の手続きで、「協議離婚」、「調停離婚」、「審判離婚」、「裁判離婚」に分かれます。具体的にどのような内容なのかは、下記をご参照ください。

① 協議離婚

話し合いのもと、別れることが決まった場合には、「協議離婚」となります。

日本の離婚の約90%はこの協議離婚で、当事者同士で色々な取り決めを行うことができます。

例えば、財産分与や養育費等です。離婚の条件も含め、全て話し合いの上で決めることができます。最もスムーズで、費用もかかりませんが、後々のトラブルに発展しやすいデメリットがあるため、”離婚協議書”に取り決めた内容をしっかり書面で残しておくことが大切です。

② 調停離婚

話し合いの結果、相手の同意を得られなかったり、話し合いにすら応じてもらえないような場合には、離婚調停を申し立てることができます。

調停委員と呼ばれる第三者を介して、話し合いが行われます。必要に応じて調停委員のアドバイスを受けながらも、なるべく当事者同士での解決を目指します。取り決めた内容は”調停調書”に書かれます。

③ 審判離婚

調停において、離婚への同意やある程度の条件は決められたものの、一部の条件が飲めない場合などは、審判離婚へと進みます。手間や費用はかかりますが、裁判官のもと審判が行われるので公平性が保たれます。

不服があれば、異議申し立てをすることもできます。

④ 裁判離婚

調停の不成立や審判への異議申し立てをした時には、離婚裁判を申し立てられます。裁判は、提出した資料や夫婦からの聴取をもとに、さまざまな事情を考慮して判決を下します。

裁判の途中でも話し合いは可能であり、そこで同意が得られた場合には、和解成立となって裁判は終わります。

◎離婚前に準備しておきたいこと

冒頭でも紹介させていただいた通り、何の準備もなく、感情のままに離婚を急ぐのはおすすめしていません。

1日も早く離婚したいという思いも分かりますが、準備を念入りにしないと、思わぬ損をしてしまったり、相手と揉めて余計に時間がかかってしまうこともあります。

具体的にどのような準備が必要なのか、解説していきます。

慰謝料請求

離婚する時のお金としてよくいわれるのが、「慰謝料」ですが、名前の通りに”慰謝する目的”で支払われるものですので、慰謝料が発生しない場合も多いです。

発生する事由としては、浮気や不倫、モラハラやDVなどがあります。具体的にこのような事由がない限りは発生しないもので、女性なら必ずもらえるものでもありません。

慰謝料請求を行う場合には、”慰謝する”に値する行為の証明が必要になります。録音や録画、スクリーンショットなど、客観的にも分かる証拠集めが事前に必要です。

財産分与

財産分与とは、夫婦の財産を分け合うことで、これは、専業主婦の方でももらえます。稼いだ金額ではなく、夫婦としての財産になるので、原則的に「1/2」となるのが普通です。

具体的には、婚姻期間中の財産になるので、預貯金や不動産、有価証券、保険解約返戻金等などが財産分与の対象となります。

また、婚姻中の厚生年金の保険料納付記録に関しても半分に分与されます。正確には、財産分与ではなく、年金分割と呼ばれる制度です。

親権

お子さまがいる場合の離婚は、離婚時に親権者の決定が必要です。

親権者とは、成年に至らない子どもを養育し、必要な教育を与え、子どもの財産を管理する人のことです。この親権は、子どもの利益が重視されます。

親権者で揉める家庭は少なくありません。夫婦の話し合いのもと、親権者が決まらない場合には、調停、審判、裁判で決定することとなり、時間や費用がかかります。

裁判所は、これまで主に監護してきた配偶者や離婚後の監護環境等を踏まえて、親権者とします。母親が有利になるとよくいわれますが、これは、上記のような事情を重視されるからです。

お子さまが15歳以上の場合には、本人の意志も尊重して決定されます。

養育費

養育費は、お子さまを育てるにあたって必要なお金のことで、学費の他、生活費も含まれます。子どもを監護していない側から、監護している親権者へと支払われるものです。

お子さまの扶養義務は、離婚後も継続していますので、養育費を支払うのは義務です。

この養育費に関しては、「養育費算定表」と呼ばれるものを用いて決定されます。裁判所のHP上でも公開されているものですので、どのくらいもらえるのか、どのくらい支払う必要があるのかは事前にみておくと良いでしょう。

なお、この算定表はお子さまの年齢や人数によって変わりますので、ご自身の家族構成や年収に当てはめて算出してください。

このようにして決められた養育費は、相手に養育費の請求を行ってから、お子さまが成人するまで受け取ることができま

離婚後の生活について

離婚は非常に労力がかかります。心身ともに疲れてしまう人も多いですが、是非、離婚前から、離婚後の生活についても考えておいてください。

例えば、今家族で住んでいる家はどちらかが出て、新しい住居を探す必要があります。専業主婦の方は、働きに出る必要が出てくるかもしれません。

離婚後には「財産分与や養育費があるから大丈夫」と思っていても、相手との話し合いが長引けば、入金も先延ばしになってしまいますので、半年分くらいの生活費は確保しておきたいところです。

また、お子さまの親権を取る場合には、お子さまの生活環境も踏まえる必要があります。幼稚園や保育園の転園や、小中学校の転校、児童扶養手当の手続きなど、やることは山積みです。

そういった手続きをすることも踏まえて、ゆっくりと準備していきたいですね。

離婚前の別居は必要?

先述した法定離婚事由がない場合には、離婚前に別居をするというのも1つの方法です。別居期間が長くなればなるほど、婚姻関係が破綻していると捉えられるので、とくに法定離婚事由がなくとも、離婚を認めてもらえる可能性が高まります。

別居する場合は、別居に関する話し合いを設けた方が良いです。一方的に相手の同意もなく家を出てしまうと、逆に不利になってしまうこともあります。

モラハラやDV等の特別な事情がない限りは、しっかりと話し合いの上別居するようにしてください。

尚、別居にかかる費用も生活費として、婚姻費用を請求することが可能です。

モラハラ夫に悩んでいる女性

配偶者に離婚を切り出す時の注意点

切り出すタイミングはなかなか難しいものですが、新しい生活に向けて、準備が全て完了してからがベストです。話し合いもできる対面が1番良いですが、モラハラやDVがある場合などはとくに、手紙やLINEなどを使用しても良いでしょう。

また、離婚したいという意志だけではなく、慰謝料や養育費といった具体的な内容までまとめて送るのが良いでしょう。

その後、話し合いの場が設けられると思いますが、冷静に話し合いをするように心がけてください。相手を逆撫でするような発言は避け、できるだけ、穏便に済ませられるようにしましょう。

配偶者は突然離婚を切り出されて困惑しているかもしれません。すぐに結果を求めず、考える時間なども作ってあげると良いですね。

身体的な暴力(DV)がある場合には、身の安全が1番となりますので、対面以外の方法をおすすめします。また、協議離婚は諦め、調停を申し立てることをおすすめします。

第三者が間に入って安全に進めていくのがベストになりますので、まずは、信頼できる弁護士等の専門家にご相談ください。

相手の同意が得られない!
離婚したいのにできない場合

離婚話になっても、相手の同意を得られないと成立しません。配偶者があなたとの婚姻関係を続けたい意志があるのであれば、恐らく関係の修復を求められることでしょう。

しかし、準備までしっかりしているのですから、あなたの意志は固いはずです。毅然とした態度で、自分の気持ちが揺るがないことを説明してください。

また、少々センシティブな内容であっても、離婚事由ははっきりと相手に伝えるべきです。

もし、配偶者が金銭的な理由で離婚に不安を感じているのであれば、財産分与や慰謝料、養育費といったお金の部分を少し相場より高く設定することによって同意が得られる場合もあります。

先述の法定離婚事由がある場合には、そのまま、離婚調停の申し立てに移ります。

調停が不成立になることもありますが、その後の審判や裁判もありますので、離婚の意志が固い内にどんどん進めてしまいましょう。

離婚問題はどの夫婦も、多かれ少なかれ揉めます。法的なものも多く絡みますので、専門家の意見を仰ぐのがおすすめです。離婚問題に強い弁護士もいますので、1度無料相談等を受けてみると良いでしょう。

離婚したいけど、踏み切れない場合

それぞれ家庭の事情がありますので、そう簡単に離婚に踏み切れないと感じている方もたくさんいらっしゃいます。例えば、お金の問題や子どもがいる場合などです。

本人に離婚の意志はあるものの、さまざまな問題が邪魔して踏み切れない場合、どのようにすれば良いのでしょうか?

・お子さまがいる場合

子どものためには、パパ・ママがいた方が良いという意見もありますが、必ずしもそうとは限りません。

シングルファーザーやシングルマザー、いわゆる片親のご家庭でも幸せな家庭はいくらでもあります。

その一方で、両親のケンカに毎日怯えて暮らしている子どもなんかもいますので、どちらが良いとは一概にいえないのです。

やっぱり、子どもを育てる環境として適しているのは家庭内が安心できる場所かどうかが重要になってくるのではないでしょうか?

離婚時の親権について獲得できるかどうか不安な方は、子どもの監護の実績をつくることも非常に重要です。

・お金がない場合

経済的な理由で結婚生活を我慢しているという人は非常に多いです。

とくに専業主婦(主夫)の方なんかは、離婚と同時に新しい職を見つけなくてはいけないという問題ものしかかってきます。

しかし、離婚協議中は配偶者に婚姻費用を請求することができますので、離婚成立までの期間は婚姻費用を得ながら仕事を見つけることができます。

そういった上でも、やはり準備は大切です。

また、経済的に有利な離婚条件の上、離婚を成立させることも重要です。

慰謝料の請求や財産分与、養育費でより多くの安定したお金をもらいたい場合には、なるべく弁護士を通して損のないようにしたいですね。

子どもの養育費については、子どもの成長段階や進学状況に合わせてかかるお金も変わってきますので、そういった点も妥協せずに考えておく必要があります。

また、相手がしっかりとお金を払ってくれない可能性がある場合には、養育費の協議内容を公正証書として残しておく方が良いです。

なお、この「公正証書」は強制執行認諾文言付きであることが条件です。

公正証書や調停調書があれば、未入金のままになっている養育費に強制執行を申し立て、相手の財産を差し押さえることも可能です。

児童扶養手当、医療費助成制度等、子育てにおける支援はさまざまありますので、1度市役所に行って相談してみるのも良いでしょう。

・自分の不貞行為があった場合

浮気や不倫等、自身の不貞行為が発覚している場合は”有責配偶者”となります。この場合、裁判になっても自らの離婚請求は認められません。

相手の方と結婚をする意志がある等、今の婚姻関係を解消したい場合には相手の同意を得るしかありません。ただし、不貞行為のある有責配偶者の立場がありますので、慰謝料や財産分与、養育費等の離婚条件はご自身が不利になることも覚悟した方が良いでしょう。

尚、有責配偶者であっても、不貞行為発覚時点で夫婦関係が既に破綻していた事実が認められれば、離婚が認められるケースもあります。

離婚に関するよくある質問

子どものいる・いないに関わるのは、慰謝料ではなく、養育費です。

慰謝料は、不貞行為やDVといった行為の慰謝の目的で支払われるものですので、子どもがいてもいなくても、正当な理由があれば、慰謝料を請求することは可能です。

ただし、子どものいる・いないで慰謝料の金額は変わることがあります。子どもが1人の時と2人の時では、精神的苦痛が大きくなるなどの判断がされるケースがあるからです。

妊娠中でも離婚は可能です。その場合、出産後の子どもの親権者は特別な理由がない限り、母親になります。

ただし、子どもの戸籍については注意が必要です。

離婚して300日以内に産まれた子どもは、元夫の戸籍になります。現在妊娠6ヶ月とのことですので、今すぐ離婚したとしても、お子さんは元夫の戸籍に入ります。

つまり、元夫に養育費を請求することが可能ということになりますが、子どもと母親の苗字が異なる状態ですので、まずはそこを同じにする手続きが必要です。

一方、離婚して300日以上経過して子どもが産まれた場合は、婚姻関係にない男女の間に産まれた非摘出子となります。子どもの戸籍は母親の戸籍に入りますが、養育費を請求するためには、元夫の認知が必要になります。

はい、できます。モラルハラスメント(モラハラ)を理由として離婚されるご夫婦は近年とくに増えています。

モラハラは精神的な苦痛を伴う行為であり、男女関係なく離婚事由とみなされます。

法定離婚事由の「その他、婚姻を継続し難い重要な事由」に該当することもありますので、「こんな理由で離婚できるわけない」とは思わず、適切なところへ相談してください。

また、モラハラは慰謝料請求できるケースもあります。ただこれには証拠が必要になりますので、辛いとは思いますが、モラハラの記録をつけたり、録音・録画を用意しておくと良いでしょう。

まとめ

離婚は、人生の大きなターニングポイントとなります。一生の中でもとても重要な決断となりますので、冷静に知識を養い、入念な準備をした上で行動することをおすすめします。

離婚の意志や自分の希望する条件が決まったら、相手との話し合いに移りますが、相手にとっても重要な決断となりますので、簡単には同意されないことの方が多いです。

もしも、揉めて思うように話し合いが進まない場合には、専門家である弁護士を頼ることをおすすめします。

弁護士は、離婚問題にも強く、法的な側面も踏まえ、できるだけ相談者に寄り添います。

当事務所は離婚問題を多く扱っており、ご依頼主さまに合ったご提案が可能です。できる限り穏便に離婚を済ませるためにも、是非、お気軽にご相談ください。