DV夫に接近禁止命令を下し、離婚した
相談者:40代 女性
相談前の状況:
妻Aさんは夫Bと結婚してほどなく子どもが生まれました。しかし、当初から夫Bは暴力的であり、産後ほどなくして、直接Aさんに対しても小突く、怒鳴る等し始めました。その後暴力はエスカレートし、酒に酔っているときに直接殴るなどをするようになりました。Aさんは友達に相談した結果、殴られた後だけでも写真を撮っておいた方が良いと言われ写真を撮っていましたが、「自分が悪い」と言われ続けていたため、「自分も悪いところがあったから仕方ない」と考えており、我慢して婚姻を継続しました。しかし、あるとき、暴力の結果顔に痣が出来た際に、ご自身の母親の強い主導で弁護士に相談した方がいいと言われ、弁護士に相談しました。
結果:
まず当初AさんはこれがDVであることについては自覚はしていたものの、自分が家から子どもを連れて逃げるといったことをすべきではないと考えていました。その理由を伺ったところ、自分が悪いのではないかと考えていました。弁護士はそのような思考に陥るのは無理もないことで、いわゆるDV被害者が陥りがちな思考であることを述べて、お母様と協力してお子さんを連れて実家に帰るようにと伝えました。夫Bは実家の場所を当然知っているので追いかけてくることが心配だったAさんでしたが、そのような行動もDV事件においてはよくあることであり、それに対しては接近禁止命令や警察への事前の相談及び通報で対処できることを述べました。ご安心いただいたとまで言えませんが、半信半疑でお子さんを連れて出て行ったタイミングで、弁護士は接近禁止命令の申し立てを行いました。Bは暴力など行っていないと反論していましたが、写真の存在、ご友人、母親への相談の記録(LINE)、日記を証拠として提出することで、すぐに申立は認められ、接近禁止命令が下りました。
その後、時間をかけて離婚調停を行い、財産分与及び親権の獲得、そして月4万円の養育費の支払いを約束いただきました。
- 担当弁護士から一言
いわゆるDVというのは加害者も被害者にも一定の傾向があります。加害者は支配的であり、配偶者への「しつけ」「教育」と考えていること、外面がよく、周りの評判は良いこと、口がうまいこと、暴力の後に優しくする、いわゆるハネムーン期がある等といった特徴があります。一方で、被害者は気弱なことが多く、「自分が悪い」と考えがちで、暴力自体を隠そうとしてしまいます。しかし、まぎれもなく、このような暴力は許されないことです。自分がもしかしたらそうなってしまっているのではないかと少しでも思われた方には弁護士も含めて他人に相談してみて下さい。
DVから逃れる際には警察への事前相談、接近禁止命令の申立、離婚調停等といった法的手続が非常に重要であり有用です。是非頼れる弁護士をお探しいただいて相談されたほうが良いでしょう。