不倫の慰謝料の請求をされた時はどうする?
弁護士への相談がおすすめ
不貞行為とは
「不倫」とは、”不貞行為”のことであり、民法上は違法に当たります。結婚している者には、別の人と性的関係を持ってはいけないという貞操義務があるからです。
不倫は、不倫された配偶者の結婚生活の平和という権利利益を害する行為です。しかし、既に夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、守られるべき権利利益は元々ないものと判断されます。
つまり、不倫の慰謝料請求された時には、「不貞行為以前に夫婦関係が破綻していた」と反論することとなります。
これを、「破綻の抗弁」といいます。
まずは、平成8年3月26日の最高裁判所の裁判事例を見てきましょう。
「Aの配偶者であるBと、第三者であるCが肉体関係を持ったとしても、AとBの婚姻関係が既に破綻していた時には特段の事情がない限り、CはAに対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である」
との判示がありました。
ただし、破綻の抗弁は採用されることばかりではなく、その採用例は少ないです。
次に、実際に破綻の抗弁が採用された裁判事例を見ていきましょう。
平成12年12月8日 夫と相手がラブホテルに入室した事実を妻が見つけ、不貞行為にあたるとして不貞慰謝料500万円を請求しました。
しかし、被害者である妻と夫は、平成10年4月頃より既に家庭内別居状態で、ひとつ屋根の下には居たものの、特段の会話のやり取りはありませんでした。
平成11年の5月25日には、妻から夫に離婚を迫ったものの、世間体や未婚の娘が2人いることも考慮した上で、夫は離婚に応じなかったそうです。この時、夫側も妻への愛情はなかったと証言しています。
その年の7月には、夫に妻の出勤予定などを見せることも止め、完全に家庭内で別生活を送るようになりました。
妻は平成12年3月14日の公的書面に「主人とは全くといっていいほど会話をしていません。」と記載しています。
裁判所はこういった経緯を踏まえ、不貞行為が発覚した時よりも前に夫婦関係は破綻していたものとして、抗弁を認め、慰謝料請求を棄却した事例があります。
完全別居というわけではなく、同じ家に同居していたケースでは、破綻の抗弁が認められるのはとても珍しいです。
不貞行為発覚前にも離婚の話が出ていて話し合いの場が持たれていたこと、ひとつ屋根の下に住んでいながらも完全に別生活を送っているなど、ほぼ”別居状態”に近い状態であることが証明されたのがカギとなりました。
公的な書面の上で、妻側が「夫とは口をきいていない」などの記載をしていたことも破綻を示す1つの材料になったのではないかと思います。
◎破綻の抗弁を主張したい場合
上記の裁判例のように、破綻の抗弁を主張したい時には、以下の項目を重視して考えてみましょう。
① 別居しているかどうか
不倫が違法となるかどうかについては、不貞行為が行われた時期に夫婦がどのような生活を送っていたのかが重要視されることがあります。同居をしていたのか、別居をしていたのか、はたまた家庭内別居だったのかなど、必須要件とまではいえませんが、とても重要です。
また、夫婦関係が破綻していると判断される別居期間は、それほど長期でなくても良いとされていますが、半年前からの別居とか、1年前からの家庭内別居とかであると、破綻を認められないケースの方が多いです。
尚、一時的な別居をして、後日再び同居したような例の場合には、破綻が否定されることもあるため、注意が必要です。
② 離婚話に発展していたかどうか
夫婦関係の破綻は、簡単にいうと離婚を示すものですので、破綻を認めてもらうには少なくとも離婚話が出ていて、具体的に進んでいる必要があります。夫婦間で離婚の話し合いをした、離婚届を作成しているくらいの段階だと、不十分だと判断されることも多く、結構厳しいものです。
実際、離婚調停を申し立てているという事実があったとしても、直ちに破綻しているとは認められません。他の要素も含め、さまざまな観点から、破綻しているかどうかを見極めていきます。
③ 夫婦関係が悪化していること
一方の配偶者に強い嫌悪感があり、離婚したい意志があったとしても、それだけでは破綻とは認められません。夫婦関係が冷え切っていたとしても、以下のチェックリストにいくつかチェックがつくようであれば、破綻を主張するのは難しくなります。
破綻を主張する前の
セルフチェックリスト
- 家族旅行や家族の行事を一緒に行っていた
- 性交渉があった
- 同じ寝室で寝起きしていた
- どちらか一方が家計を管理していた
- お互いの帰宅時間など、生活リズムを把握していた
※ 家庭内別居状態が長く続き、上記項目にチェックがつかない場合などは、破綻を主張できる可能性も高まります。しかし、破綻の抗弁が認められるかどうかについては専門的な知識を要するので、離婚問題に強い弁護士などに相談することをおすすめします。
慰謝料の支払義務
仮に「破綻の抗弁」が認められないケースでも、不貞相手が、夫婦関係が破綻しているものと信じていたこと、且つ信じたことに過失がない場合には、不法行為は成立しません。つまり、慰謝料を支払う義務は発生しないのです。
しかし、不貞相手が交際相手について、既婚者であることを認識している、奥さん(旦那さん)と暮らしていることを認識しているような場合は、別です。不貞の誘い文句として、「奥さんとはほとんど顔も合わせないんだよ」などと破綻していることをちらつかせる人もいるため、注意が必要です。
信じたことに過失がないと判断されるには、その誘い文句を信じた、というだけでは不十分です。なかなか証拠があっても、反論できない部分であるのが難しいところです。
例えば、交際相手から、夫婦関係が上手くいっていないこと、離婚話が進んでいることといった内容のLINEをもらっていて、証拠があったとしても、交際相手が奥さんやお子さんと同じ家で暮らしていることを知っているのであれば、婚姻関係は破綻していない、信じたことに過失があると判断され、反論が認められないケースも多いのです。
慰謝料の支払いに関しては、専門的な知識や判断が必要となります。お金が大きく関わる部分ですので、まずは、専門家に相談することをおすすめします。
当事務所の3つのあんしんポイント
当事務所は、離婚問題にお困りの方からのご相談をお待ちしております。
誰にも相談できないお話も、私たちであれば、サポートできます。
多くの解決実績のある離婚弁護士が、慰謝料の減免をサポートさせていただきます。
① 専門チームによる慰謝料の診断
慰謝料の請求が妥当なものなのか、まずは、当該行為について調査いたします。
例えば、既に別居している場合などは、今回詳しくご紹介してきた「破綻の抗弁」が成立する可能性もあります。
また、不貞行為までは進んでいないケースなどでは、「不貞行為の事実」について争うことも検討する必要があります。
どちらも専門的な知識を必要とするものですので、弁護士の中でもとくに離婚問題に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。
尚、当事務所は「弁護士の専門分野」を行動指針の1つとしています。
弁護士が必要となる事案は色々ありますが、幅広く業務を行っていると、それぞれの質が低下してしまう恐れがあります。
今回のような離婚問題や不貞慰謝料については、離婚問題に強い弁護士が対応させていただきます。具体的な状況などをお聞かせいただき、慰謝料が認められるのか、またどのくらいの金額になるのかの見込みなどもお調べします。
② 弁護士が交渉窓口となる
夫婦間の問題はとくに、冷静な話し合いができないことが多々あります。相手から危害を加えられる恐れがあるなど、精神的にも辛く、苦しいこともあると思います。
当事務所は、弁護人が代理人として相手方との交渉を進めていきますので、相談者様の負担を減らすことができます。相手方との接触を禁ずることも可能ですので、安心して問題解決に前進することが可能です。
③ 早期解決を目指す
離婚問題は長引けば長引くほど、お互いの負担が増加し、心身ともに疲れ切ってしまいます。そのため、当事務所は迅速な解決を目指して、相談者様の離婚問題を進めていきます。
誰にも相談できない辛い思いを抱えている方は是非、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
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